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2017.08.22

ウィーン美術史博物館

この夏の中欧旅行を備忘のためにも記録しておきたいと思うのだが、なかなか思うように行かない。記憶が飛んでしまう前にとりあえずウィーン編。

シェーンブルン宮殿も凄かったが、翌日朝イチで訪れた美術史博物館は展示物に圧倒された。

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ここの目玉の一つはフェルメールの「画家のアトリエ」。学芸員の解説を聞きながら生で至近距離で鑑賞できる。行列もない。背景のオランダの地図が実際の地図と寸分違わないことなど、遠近法の起点となる点から糸を張るために刺されたピンの跡が確認できることなど、学芸員のおねえさんの解説は詳しい。ドイツ語を訳してくれるガイドさんも博識でこの絵の転々とした運命を教えてくれた。「ぶらぶら美術館」のおぎやはぎの気分である。

写真撮影自由というのも素晴らしい。

この作品は小品が多いフェルメールの作品の中で最大のサイズ。生前に手放すことはなく遺族が借金の返済に売却した。所有者は転々としたが最後の所有者はオーストリアの貴族のチェルニン家で、ナチスのオーストリア併合の後に美術品収集に意欲を燃やすヒトラーに売却した。売却価格は正当で自発的な売買ということになっているが、当時の力関係からして略奪に近いのではないかと思われる。ヒトラーは集めた収集品を空襲から守るために岩塩坑に隠し、戦後アメリカ軍がこの岩塩抗を発見して美術品を奪還した。この経緯は映画「ミケランジェロ・プロジェクト」で取り上げられている。

「画家のアトリエ」は美術史博物館から門外不出である。

と言うのは、このチェルニン家の相続人との間で所有権が争われているからだ。

この絵が国の所有となりウィーンのこの美術館にあることは現状として正しいことだと思う。

ただ、いったんヒトラーに売ったのだから所有権はないという理屈にもかなり無理がある。

当時の状況で、ヒトラーに売買を断ることができただろうか。

慰安婦の問題でもあるように、合意の上での自発的な契約だから、強制ではない、略奪ではない、という理屈に通じるような気がする。

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アルチンボルト。

今、東京で展覧会をやっている。

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ブリューゲルのバベルの塔。

レンブラントの作品も多数。

半日滞在してどっと疲れたが、面白かった。

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