「通説」は錯覚?
結論から言うと、チャンスを逃した後の失点率は全体の失点率とほぼ同じだそうで、大量得点をした次の試合は全試合平均より得点数が多い。つまり、日頃そうかなあと思って印象に残っているだけで実際は違うということである。こういう錯覚はよくある。
真っ先に思い浮かんだのが「熱性痙攣」と「解熱剤」の関係である。
熱性痙攣は熱の上がり際に起きることが多い。
解熱剤で熱を下げると熱はいったん下がってまた上昇する。
この上がり際に熱性痙攣を起こす可能性がある。
よって解熱剤を使うと熱性痙攣を起こしやすい。
本当にそうだろうか。
日本には解熱剤と熱性痙攣の頻度や重症度を検討したデータがない。もっともらしく熱の折れ線グラフと上がりかけに矢印をして、「解熱剤」「痙攣」などとかき込んだパンフレットなども見かけるがあくまでこれは「推論」なのである。
横浜の佐藤先生のホームページによれば(熱性痙攣に関してはいつも佐藤先生のスタンスを参考にしている)
欧米では解熱剤に熱性けいれん予防効果があるかという研究が広く行われていました。その結果の多くは「解熱剤を使っても使わなくても、熱性けいれんがおきる確率は変わらない」というものでした。
つまり、解熱剤を使っても熱性痙攣は予防できないが、熱性痙攣を誘発することもない。
熱があるから解熱剤、熱があるから抗菌薬、というような態度を戒めているので、安易な解熱剤の使用はお勧めしない。しかし、高熱があって元気がなく、眠れない、食事が取れないなどの辛い症状を緩和する意味では解熱剤は一つの手段として考えてよい。
ところが、こうして解熱剤を使った子どもさんが熱性痙攣を起こして救急に行ったりすると、解熱剤のために痙攣が起きたと非難されることがある。解熱剤なんか出した医者はとんでもないヤブ医者だと言わんばかりに。
高熱のために解熱剤を使った、という事実と、高熱のために熱性痙攣を起こした、という事実。これは、事実なのだけれど、解熱剤を使ったので熱性痙攣を起こしたという証拠はない。何となく多くのお医者さんが信じている(私も10年前まではそう思っていた)「通説」ではあるのだが、誰もこれを証明しようとしない。いや、証明できないのではなかろうか。
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