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2008.08.01

日本脳炎ワクチンについて

7月31日の「めざましテレビ」で日本脳炎ワクチンの事が取り上げられたらしい。幸区の羽鳥先生が登場してコメントをするという情報がきた。あいにく、その情報を伝えるメールを見たのが7時20分過ぎ。急いでテレビをつけてみたがもう終わっていたようだった。この2日前までは早朝ランを決意して早起きだったのに、息切れして眠りこけていた。無念。誰かYouTubeにアップしてくれないかしら。

この番組がきっかけになったのだろうか、その日から急に日本脳炎ワクチン希望者が増えた。
ご案内のように、3年前に日本脳炎ワクチン接種後のADEM(急性散在性脳脊髄膜炎)症例が出て、以降効果と副作用とのバランスを考え、国としては日本脳炎ワクチンの積極的勧奨は差し控えるというスタンスになった。一部には「中止」という風に伝えられているが、現在でも「定期予防接種」という位置づけは変わらず、積極的にお勧めはしないが希望者には従来通りに接種することになっている。
厚労省の読み違いは、新しい製法で作られたワクチンがもっと早く出回ると思っていたのが、発熱などの副反応の問題でなかなか検定を通るワクチンができなかったことにある。おかげで、日本脳炎ワクチンを接種していない世代が拡がりつつある。この世代で日本脳炎患者が続いて出たらどうしよう、とだんだん心配になってきているわけだ。
そもそも日本脳炎は「日本」という名前がついてはいるが、本場は日本ではなく中国や東南アジアである。日本ではここ10年くらいのデータで言うと患者数は年間一ケタで推移している。小児例は2年前に熊本で1例でたのだが、それ以外はほとんど成人である。要するに、今の日本ではあまり流行はない。特に関東以北の小児に限って言えばリスクはかなり少ない。
これがワクチン接種による恩恵であったのかどうかの判定はなかなか難しい。しかし、ワクチン接種をやめたら数年経って流行が始まって、やっぱりワクチンは効いていたんだな、というような実証はゴメン被りたい。つまり、こういう形での中断は困るのである。
当院では昨年あたりから、国の「積極的勧奨の差し控え」に対抗して「当院としては、お勧めします。特に、新しいワクチンが出回る頃に接種年齢の7歳6ヶ月を過ぎてしまう5歳以上のお子さんには積極的にお勧めします。」というスタンスを取っている。
ところが従来のワクチンはすでにメーカーが製造を終了している。国が現行のワクチンは勧めない、新しいワクチンに切り替えるというのだから、メーカーとしては当然の対応であろう。現在出回っているロットが最後の在庫となるらしい。もちろん在庫数は対象年齢の子どもがすべて接種を希望したら到底間に合う本数ではない。
このため、あちこちでワクチン不足が起きている。横浜市などでは各医療機関でワクチンが入手できず、接種希望に応じられないところが多いらしい。小口では入手しにくいのである。
川崎市では市が入札によって半期毎にワクチンの購入メーカーを決めている。それを一括して買い上げ、提携した医療機関に現物で配布する。医療機関としてはメーカーを選ぶ自由はないが、ワクチンは確実に確保される。メーカーとしても確実に売れるから自治体の一括買い上げは有利な取引先である。
このシステムのおかげで、川崎市では今のところ希望者全員に日本脳炎ワクチンを接種できている。(8年前の麻しんワクチンはこのシステムが裏目に出て、全市的に効力の低いワクチンを接種したわけだが)。それでも、現在のロットが完売すれば後はないのはどこも同じ。現状のように接種希望者が全国的に急増すればいずれ足りなくなるだろう。
だからといって、あわてないでもらいたい。今の時点で、日本では日本脳炎は「流行」していない。これまでだって接種の推奨年齢は3歳以上で、3歳以下の子どもは「免疫がない」状態だった。それでもその年代の患者が大発生したわけではなかったから、ここで急に大流行することは考えにくい。
限りのあるワクチンは現在5−6歳で新ワクチンが間に合わない世代の子どもを優先したいと思っている。


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コメント

はじめまして。
私は3年前の「日本脳炎予防接種積極勧奨中止」のきっかけとなりました山梨の娘の父です。
先生の記事を読ませて頂き、他の方々と違う冷静な考えに共感しました。
「めざましテレビ」は、親御さんたち不安になるだろうな、と思いながら観ていました。
娘の事例について3月から日記に綴っています。
http://www.kangaeroo.net/D-user-F-diary-uid-G9-unixtime-1217516400.html

よろしければご覧下さい。それと、先生のこの記事を私の日記に引用させて頂きたいのですがよろしいでしょうか、お願いします。

投稿: 杉原 | 2008.08.02 07:24

杉原さん
ADEMを発症されたお子さんのお父様ですか。ご心配お察し申し上げます。

この記事の引用は自由です。全文を参照できるようリンクを張って引用してください。

投稿: 院長 | 2008.08.02 22:07

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