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2008.06.26

麻しん発生状況での疑問

先日の保育園の麻しん騒動は今のところ新たな展開はない。直接情報が入る立場にないので二次感染が出たどうかはわからないのだが、当院が張り巡らせている情報アンテナには新規患者がでたという知らせはない。しかし、川崎市で麻しん患者が増加しているのは明らかで、昨日医師会の委員会で配られた資料を見てもそのことは明らかだ。

Masinbunpuこのグラフは川崎市で今年の24週(5月末くらい)までに報告された麻しん患者の年齢別グラフである。数から言えば横浜・横須賀には遠く及ばないがアメリカ合衆国全体の3−4年分はある。
数の多さだけでなく注目していただきたいところがある。
飛び抜けて発生数が多い年代がある。現在8歳、小学校3年生の所である。しかも、30例中25例がワクチンを接種していたにもかかわらず発症したケース。他の年代と比べて際だって特徴的である。どうして、この8歳という年代に麻しん患者が多く、しかもワクチン接種済みの比率が多いのか。これは以前のエントリでも書いたが、この年代が受けていた麻しんワクチンに問題があるようだ。
川崎市では麻しんに限らず定期接種のワクチンは市が入札によって銘柄を決める。半期毎に入札が行われるので、ワクチンの銘柄は半年ごとに変わる。同じ時期に市内で行われる定期接種はみな同じワクチンメーカーのものになる。
川崎市では、この8歳の年代が1歳代で受けた麻しんワクチンは「千葉血清」という会社の製品。このメーカーのワクチンは抗体産生が悪いことが問題となり沖縄県ではメーカーの費用負担で接種のやり直しが行われたという。各地の調査でも「千葉血清」ワクチン接種者に麻しんが多発している。ロットナンバーは「C4-7]「C5-1]「C5-3」である。しかし、メーカー側は治験によって十分な抗体が産生されたというデータを出してきてこの事実を認めていない。
さらに悪いことに、この「千葉血清」という会社は2002年をもって会社精算している。やばいと思ったのだろうか。吸収合併ではなく会社精算なのでミドリ十字のように責任を引き継ぐ会社がない。逃げたもの勝ちである。
それでいいのだろうか。川崎市の医療機関、子どもたちはあの当時「千葉血清」以外に選択枝はなかったのである。市が「千葉血清」のワクチンを選定した以上、責任の一端は免れないだろう。この際、定期予防接種の実施主体である川崎市が責任を取って動くべきではなかろうか。
麻しん・風しんの2回接種を徹底するためにこの4月から中学1年と高校3年の3期・4期接種が始まった。ところがこのままで行けば今の小学3年生が3期接種を受けるのはこの措置の最終年度の4年先。一番ヤバイ世代が一番後回しになるのである。
解決策として、市の単独事業として小学校3年生の年代に3期接種を前倒しで行うことを提案しようと考えている。費用は長い目で見て変わらない。今年2年分の費用がかかっても4年後の3期接種の費用は要らなくなる。その間に麻しん発生数が抑えられるのなら万々歳ではないか。

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