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2007.12.26

タミフルと異常行動

12月25日、厚労省はタミフル服用後の異常行動について、引き続き10歳代の使用制限を続けると発表した。これは厚労省の研究班会議(班長:広田良夫大阪市大教授)の報告などに基づいておこなわれたもの。報告書の内容は届いたばかりの小児科学会雑誌に掲載されている前班長横田俊平横浜市大教授らの論文と同じ内容だろうと思う。使った調査資料は同じはずなのだが解析方法などは違うのだろうか。

この研究は昨シーズンの流行時に行われたもので当院も参加して20例のレポートを送った。結構煩雑だったが、タミフルと異常行動の関係について本当のところはどうなのかを知りたいと思っていたので喜んで協力した。ところが厚労省の班研究でありながら研究資金を当の製薬会社から調達したということで(厚労省はこのことを了解済みだったらしい)、当時の班長の横田俊平教授は降板せざるを得なくなる。集まったアンケート資料は宙ぶらりんとなってどうなるのかと思ったがこの度やっと日の目を見た。小児科学会雑誌には当時の班長である横田俊平教授の名前で報告がなされている。ともあれ、集計結果が出てよかった。
タミフルの服用と異常行動の関係については、タミフルを服用した例の方が異常行動を示す割合は少なかったという結果であった。この調査からはタミフルの服用と異常行動とは無関係、かえって異常行動を減らす効果ありということになる。研究班の方ではそこまでは言い切らなかったようだが、とにかくタミフルの服用が異常行動を増加させることはないと言う暫定的な結論である。
一方、タミフルの服用で異常行動の質、危険度が増すのではないという疑問に関しては、その数が少なくて結論が出せないということだった。タミフルを服用しなくても異常行動はしばしば経験しているし、飛び降り事故なども報告されている。なので問題はその異常行動の程度がタミフルの服用によって増幅されるかどうか言うことだった。そもそも命の危険を伴うような異常行動の頻度はごく僅かなものなので1年や2年の症例の蓄積では統計的に物が言える症例数が集まるわけがなかった。
と言うことで、どうする?タミフル?である。
厚労省が10歳代の使用制限を継続するというからには、それを破ってまで10歳代にタミフルを使おうとは思わない。リレンザという手もあるが、リレンザもタミフルと同じ程度に問題があるのでこれも代用にはならない。リレンザで問題が起きないのではなく使用頻度が少ないから表に出てこないだけである。10歳代は原則タミフル、リレンザなしということになる。これはあくまで政治的な対応と言うことになるのだが。
それ以外の年代については、この報告の内容についてお話をして、インフルエンザはタミフルを使わなくても自然に治癒する病気ではあるが、タミフルを使っても悪くはないですよ、というスタンスでお話しするつもりである。タミフルは熱の期間を1−2日短くするだけというが、その1−2日が大事という人もいる。使えば肺炎になる確率も減るらしい。
一時は実力以上の期待感で品薄になって「タミフルパニック」を起こし、今度は副作用の問題で必要以上の恐怖感、忌避感が生まれている。使いにくい薬であることに変わりがない。でも、使いやすいということになれば世界の消費量の7割を使っちゃうし、このくらいの方がいいのかもしれない。

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