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2006.01.28

タミフルの使用戦略

今週の初めにインフルエンザが増えてきたと書いたが、週末にはさらに加速度が増した。比較的のんびりしていた1月だったがここに来て延長戦が必至の状態。

ここで問題なのはタミフルの使い方。昨年末からマスコミで繰り返し報道されている「タミフルの副作用」のせいか、今すぐ「特効薬」をという方はだいぶ少なくなった。こちらも、「副作用の心配もあるのですが、どうしますか」と一言入れているせいで、自力で治るのならタミフルは要りませんという方も多くなった。何が何でもタミフルという何年か前のタミフルパニックのことを考えるとずいぶん雰囲気が変わってきたものだ。
でも、やはりタミフルは効く。脳炎・脳症をはじめとした重大な合併症を防ぐという効果は期待できなくても、熱は早く下がるし、早く楽になる。タミフルの効果は統計的にみたら約1日発熱期間を短縮するだけ、ということだが平均して1日の短縮というのは大きい。ほんとうにあるのかないのかわからない「副作用」を心配するより目の前の利益をとっても間違いじゃない。もちろんタミフルを飲まなくても1日で熱が下がってケロリという人も結構いるから、それはそれでまた正解といえる。私がインフルエンザで熱を出したらタミフルをのむ。
タミフルの使用制限論のもう一つの論拠に耐性ウイルスの出現の問題がある。こんなに広範に同じ薬を使えば必ず耐性ウイルスが出現する。現に同じ抗インフルエンザ薬のシンメトレルに対しては約9割のウイルスが耐性だという。もしタミフル耐性ヒトインフルエンザが鳥インフルエンザと交雑して新型インフルエンザとなったら大変だというのである。問題はどのくらいの確率でそういう新型ウイルスが生まれるかだ。本当にタミフル耐性新型インフルエンザが現実的なものとして考えられるのなら、今のような野放し状態でタミフルが使われるのを放置できないはず。そして、国家レベル、地球レベルでタミフルの使用制限に走らなくてはならないはずである。では、どうして制限されずに使われているのか。どういう根拠か知らないが、たぶん、新型インフルエンザが現れてもタミフルは効くと予想されてるのだろう。一方では新型インフルエンザ出現の恐怖をあおり、「備蓄」と称して世界中にタミフルを売り込む。いくら使用を制限してもどうせいつかは耐性ウイルスはあらわれる。タミフルが全く効かなくなるその日までにどれだけたくさん売るか、それが勝負だと考えるやつがいてもおかしくない。いや、そう考えているのじゃないか。イラク戦争よりもっと安全なもうけ口だ。
「風邪に抗生剤」と違ってタミフルはインフルエンザに効くだけに使用制限はむつかしい。耐性ウイルスを心配して個々のクリニックで使用を制限するのはほとんど意味がない。この問題は世界的な戦略の問題なのだから。

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