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2005.05.10

感染性胃腸炎と食中毒

育児雑誌の記事の監修をたのまれていて、そこで「感染性胃腸炎」と「食中毒」はどう違うのかいろいろ説明しなければならなくなった。この二つの概念にクリアな説明ができるだろうか。

感染性胃腸炎の原因として細菌ではサルモネラ、キャンピロバクター、病原性大腸菌などが、ウイルスではロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどが代表選手としてあげられる。今年の年始には各地の老人施設でノロウイルスの集団感染があった。ノロウイルスは「食中毒のウイルス」と説明されていた。しかし、起ったことは食中毒ではない。感染源は食物ではなく、感染者の便や吐物に含まれていたウイルスが飛沫や介助者の手指を通して拡がったものだ。これは「感染性胃腸炎」。もしノロウイルスに汚染された生牡蠣を食べて集団感染したのなら「食中毒」。同じことがサルモネラにもキャンピロバクターにも言える。
では「食中毒」と「感染性胃腸炎」の違いは感染経路の違いだけかというと必ずしもそうとは言えない。
腸炎ビブリオは細菌だが、これは感染性胃腸炎の形をとることはほとんど無くて、海産物を介した「食中毒」。ブドウ球菌の「食中毒」は症状が菌から出る毒素によるものなのでいったん毒素ができてしまうと加熱しても毒素は無くならない。その代わり毒素が人から人への感染を起こすことはない。ボツリヌスによる食中毒も毒素が原因なので同じで「感染性胃腸炎」の形は取らない。また、ボツリヌスの毒素は神経毒なので「食中毒」からすぐに浮かぶ「下痢嘔吐」の症状もない。
こう考えると、「食中毒」「感染性胃腸炎」をフローチャートで説明してしまおうというのは全く無謀なことだと言うことになる。いや、確かに無謀。

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コメント

7月に「食中毒を防ぐ!家庭の調理・新常識110」(現代書林)が出版されました。モヤシがウンチほど汚く、シンクで洗うと菌で汚染されてしまう話や、カイワレ大根が菌の揺りかごで育っている秘密、キュウリが食中りの真犯人である話など、目から鱗の話が満載です。小さな子供や老人がいる家の主婦は必読と思いました。またこれから結婚する人も読むべきと思います。

投稿: トビー | 2006.07.22 00:42

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