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2005.05.30

日本脳炎予防接種「差し控え」騒ぎ

朝から日本脳炎ワクチン接種中止というニュースに振り回された。読売新聞の「スクープ」のようで、今日厚労省が「日本脳炎ワクチンの接種中止の勧告を出す」というもの。

朝、クリニックで小児科関連のメーリングリストを見てみたが、話はそのことで持ちきり。だが、情報は読売とフジテレビだけ。読売の記事によれば、昨年11月に日本脳炎ワクチンの接種を受けた中学生がその11日後に「急性散在性脳脊髄膜炎」を発症して、ワクチンが原因である可能性が高いという結論が出たという。そのことを重く見た厚労省は予防接種実施主体である市町村に「ワクチン接種の勧奨を中止する」よう通達を出したという。
だが、何でこんな事が「スクープ」されなきゃいけないのだろう。事情がそうであれば、厚労省から発表されて市町村に通達が行って、現場の医療機関にもその情報が届くのが普通だろう。何でこういう事が新聞記事でまず報道されて、現場が本当かどうか裏を取りに行かなきゃいけないのだ。以前も読売新聞は「ポリオ生ワクチン中止 「不活化」接種に転換」という「スクープ」をして結局ガセネタだったことがあり、小児科医の間では信用されていない。そう言うこともあって、朝イチで来ていた日本脳炎の接種希望の方には事情を説明してどうしますかと訊いた。先週まで接種していたワクチンで問題ないと思われるのなら受けたいと言うことだったのでひとりは接種した。昼過ぎにメーリングリストを開いてみたら「定期の予防接種における日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨の差し控えについて」というタイトルで厚労省から市町村に文書が届いているという話。横浜では市からファックスが流れてきたそうだが、川崎市からも川崎市医師会からも何も言ってこない。
どうも「流れ」は「接種を差し控える」という方向のようなので当院でも当面日本脳炎の接種は「差し控える」事にする。明日の予約は5名だったので中止の連絡を入れる。午後に接種希望2名あり、こちらも状況を説明してお引き取りを願った。
日本脳炎ワクチンでは100万人にひとりくらいの確率で「急性散在性脳脊髄膜炎」が起きるとされている。そのことは関係者みな承知のはずで、何も今回急に予想外の事態が起きたわけではない。それをこうしてどたばたとあわてふためくと予防接種行政への信頼感が損なわれるだけである。しかも「積極的な勧奨の中止」だという。どうせ止めるののならすっぱりと「接種の中止」と言うべきだろう。国内で発症する日本脳炎の患者数と副作用による患者数のバランスが悪すぎるので止める、と言うのなら筋が通っている。だが、そう言うことならキチンとデータを集積して議論してからのことで、新聞社の「スクープ」になるような事柄ではない。

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コメント

長男が今月接種したばかりだったので、昨日のニュースにはドキドキしました。これから彼がどうにかなるわけでもないでしょうが、こういうことがあると「予防接種は危ない」ということがまことしやかに言われてしまうのだろうな、と先生のコメントを見たくてHPを見てみました。

投稿: SAママ | 2005.05.31 11:19

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先日の厚労省からの日本脳炎予防接種についての緊急勧告。 一部マスコミが「スクープ [続きを読む]

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