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2004.09.30

急病センターの使い方

医師会経由で神奈川新聞の健康欄にエッセイを依頼されていた。たのまれたのはだいぶ前だったので、何となく気になっては書き直し、を繰り返しているうちにどんどんつまらない話になっていった。今日、掲載されましたというお知らせと掲載紙が送られてきた。テーマは先方からの指定で「小児救急と急病センターの使い方」。こちらにも残しておくことにした。

私は月に一度くらいの割合で川崎市の小児急病センターの当番に出ます。出番は日曜日の日中だったり、平日の夜だったりします。深夜帯は主に病院勤務のドクターが担当しています。
どの地域でも同じですが、患者さんの小児救急によせる希望は、「何時でも」、「近くで」、「小児科の専門医」に診てほしい、というところにあります。しかし、現実には病院の小児科では当直医の負担が大きくて、医学部卒業生の中では小児科医のなり手が減ってきています。市立病院の小児科はいつも欠員です。そういう事態を打開するために開業医も出動する急病センターが各地で設置されるようになりました。
救急当番をしていて感じるのは、これは「救急」じゃなくて「夜間時間外診療」だな、ということです。もちろんこの時間に来て正解という方もいますが、8割がたは翌日かかりつけ医に行けばよかったのにというものです。「熱が出た」というのは救急の受診の中でも多いものですが、熱が出てすぐに何かしなければならないということはまずありません。咳や鼻水、下痢などにしても本人がある程度元気なら、大急ぎということはありません。ところがインフルエンザなどで「特効薬は24時間以内に」とか、「脳炎で手遅れになる前に」という情報が氾濫しているので冬の流行期には救急外来は大変なことになります。元気でぴんぴんしている人たちが列をなして待ち時間が1−2時間,具合の悪い人はあきらめて帰ってしまったという笑えない話もあります。
昼間は仕事や用事があって病院に連れて行けないので、という方も結構見受けます。こういう方は「救急では一日分のお薬だけです。翌日かかりつけ医を受診してください。」と言うと不満な様子です。どんな症状でも24時間いつでもどうぞという救急を「コンビニ救急」と呼びますが、今の医療をめぐる状況ではこのコンビニ需要をまかなうことは不可能なことなのです。

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